大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和35年(ネ)550号 判決

千葉市新町一三四番地

控訴人

千葉敏夫

東京都千代田区大手町一丁目七番地

被控訴人

東京国税局長

竹村忠一

右指定代理人

加藤宏

多賀谷恒八

篠原章

西条起弘

右当事者間の昭和三五年(ネ)第五五〇号課税処分取消請求控訴事件につき当裁判所は次のとおり判決をする。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は、「原判決を取消す、被控訴人が昭和三三年一月二八日なした控訴人の審査請求を棄却する旨の決定はこれを取消す、訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とする」との判決を求め、被控代理人は、「本件控訴を棄却する」との判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張、証拠の提出、使用及び認否は、被控訴代理人において、原判決七枚目表七行目に「差引所得金額三三二、六二三円」とあるは「差引所得金額二三二、六二三円」の誤記であるから訂正すると述べ、新な証拠として、控訴人は、甲第三号証、同第四号証の一乃至一一、同第五および第六号証を提出し、当審証人穴山久勝、同千葉常盤の各証言を援用し、乙第一四および第一五号証の各成立を認め、乙第一三号証の成立は不知と述べ、被控訴代理人は、乙第一三乃至第一五号証を提出し、甲第五号証の成立を認め、同第三号証、同第四号証の一乃至一一、同六号証の各成立は不知と述べた外は原判決の事実に摘示されたとおりであるからこれを引用する。

理由

本件につき更に審究した結果、当審のした判断も次の点を附加する外原判決の理由に説示されているところと同一に帰するからこれを引用する。すなわち、当審証人穴山久勝、同千葉常盤の各供述によつても本件所得税額等決定処分前に控訴人から所轄税務署長宛適式な確定申告書を提出したことを認めるに足らないし、また甲第三号証はこれを真正に成立したものと認められる乙第一三号証と対照し、甲第四号証の一乃至一一は成立に争のない乙第三および第四号証と対照して見るに、これら甲号証はいずれも控訴人の昭和三一年度の収支額に関する認定を動かすに足らない。なお甲第六号証の記載によつても右認定を覆えすに足らない。尤も成立に争のない甲第五号証には控訴人が訴外井上某代理訴外中島己之吉に対し昭和三一年度分地代として金一、七〇〇円を支払つた旨の記載があるけれど、控訴人が右金額を支出したとしてもなお控訴人の現実の総所得金額とみとめられる金三三〇、四八二円から右金額を差引いた額より少なく定められた本件決定額即ち金二四八、二一〇円には影響はないものというべきである。しからば控訴人の本訴請求を失当として排斥した原判決は相当であつて本件控訴は理由がない。

よつて民事訴訟法第三八四条第八九条第九五条を適用し主文のとおり判決する。

(裁判長判事 梶村敏樹 判事 岡崎隆 判事 堀田繁勝)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例